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晴れ

3月。
先日のひな祭りはひな祭りらしくなかった。
ナンピザでお酒を飲むという何とも緩やかな時間を過ごして、面倒臭くなってきた酔っ払い達を横目に帰宅したくらい、ひな祭りらしくなかった。
けれど眠る前に次兄の部屋を覗き飲んだら、「ほら」とセブンイレブンの袋を渡された。
なんだなんだ、と中を見てみたらみたらし団子。
「三色団子じゃなくてごめんな」って笑った次兄の優しさがたまらなく嬉しかった。
日付変わった4日が、私にとって今年のひな祭りとなった。
そんなみたらし団子なんかで、と次兄は言う。
けれどその細やかな優しさが、今の私にはとくとくと注がれる水のように柔らかく、温かかった。

雛人形が出されなくなったのは、小学生の中学年だった。
父が雛人形の入ったケースの天井ガラスを割ったのだ。
直すと言いながら一年、また一年と時間は過ぎ、結局出されぬまま大人になった。
もう十数年も我が家から消し去られていた行事。
それが次兄の優しさによって帰ってきた。
雛人形が見たいんじゃない。
ご馳走が食べたいんじゃない。
幼い頃の私は、ただ「ひな祭りだね」と忘れずにいて欲しかったのだ。
そんな幼い頃の私の声にようやく気づけた日でもあった。

相変わらず嫁には行っていない。
雛人形をしまい遅れると嫁に行き遅れると言うけれど、そもそも雛人形を出していない場合はどうなるのだろう。
嫁には行っていないが、今お付き合いしている人とはもうすぐ5年を迎える。
高望みはしない、自分たちのペースで緩やかに前に進めたらいい。
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