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曇り

君との別れが突然訪れてから1ヶ月半。

本当は気付いていた小さな黒いシミがいつの間にかこんなにも広がっていたんだと今は思う。

君が抱えてきた責任感の限界と、私がやり遂げたかった目標の誤差。たったそれだけのこと。

たったそれだけのことに5年を費やした私達は本当に性格が真逆すぎて時間が掛かってしまった。

君が後悔していなければいいのだけれど、と私は毎晩ぼんやりと一番大好きだった君の微笑みを記憶で辿る。

 

交わしてきた沢山の約束は殆ど守られることなくこのまま未来という未知の領域に消えてしまうけれど、私達は確かに同じものを見て食べて触れて、不器用なりに共有していた。

お気楽な映画のようにハッピーエンドは用意されていなかったけれど、君にとってはハッピーエンドなのかもしれないし、それこそ未知である未来にしか答えはない。

ただ君がそこで笑っていたらいいな、と今は素直に思うんだ。

私は君のように真っ直ぐひたむきに歩く性格ではないから、きっとこれからも傷つくと分かりながらも傷ついて、傷ついたと確認しながら進むことしかできないし、君が望む幸せに辿り着けるか約束はできない。

でも、君はきっと夢を叶える力のある人だから大丈夫。何の心配もないんだ。

5年前の私たちには本当に何もなかった。

お金も、車も、娯楽も、何もなかった。

けれど互いの体温だけは今よりも遥かに身近に求め合える距離感にあった。

今思えば、あの日々が私達の全てだったのだと思うんだ。

 

私と君の分岐点。

君はもう此処にいない。

私ももうそこに居ない。

この先で交わることもない。

私達は、「大人」になったんだね。

 

いつか君の名前を何処かで耳に出来たときに素直に笑えていたら、私はその時幸せなのだろう。

それはきっと君も同じでしょう。

 

長い長い夢のような日々を私と君はゴールしただけ。

ゴールの形は理想と違ったけれど、これもまた一つのゴール。

もう君は何も知らなくていいよ。

ただ先にあるものを掴んで歩き出そうね。

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