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雪-ノルウェイの森

タイトルは村上春樹著作から。

とても親しい人から、ノルウェイの森に出てくる「緑ちゃんに似ているよね」と言われたことがある。何故ノルウェイの森の話になったかといえば、互いの読んでいる本の中で共通点が村上春樹だったからで。私は火事がそばで起こっているのにギターを弾いて歌えるほど強くないよ、と笑ったけど、「似ているよ、緑ちゃん好きだなぁ」と笑っていた。そう言われた時にびっくりしたのが、私はあの作品を読んだ時に緑ちゃんが1番好きで、緑ちゃんにはとことん感情移入が出来ていたことを相手に伝えていなかったのにそう言われたこと。そんな好きな登場人物に似ていると言われたのはとても嬉しくて、くすぐったかった。私はあんなに逞しくないし、自分の意思を伝えきれない。彼女は常に真っ直ぐに相手に想いを伝える子で、エネルギーに満ち溢れている。そして、つかみ所のない愛嬌のあるキャラクターだ。つかみ所がないと言う部分が似ていると言ったのか、何を見て似ていると言ったのか今でもわからないけれど、あれ以来私はノルウェイの森を本棚に見つけるたびに友人を思い出す。あれから何年も経ってしまって、今の私は緑ちゃんではないかもしれないなって思いながら懐かしくなる。遠い過去の思い出。

不思議な縁の人なのだ。何だか人生の袋小路に差し掛かった時に偶然出会うような人。互いに何か思い詰めていたり、何かに迷っていたり、そっと誰かに打ち明けられたら楽なのにな、というときに偶然街中で出会った。もう付き合いは随分長いのだけれど、互いに進んだ道がまるっきり違うのに、何故こんなにも大事な時期にお互い偶然会うんだろうねと笑ったこともあった。だからと言って相談をするわけでもなく、何を話すわけでもなく、一時間ほど共に過ごして別れると何だか気持ちが落ち着いているような、そんな不思議な人。こういう縁なのだろう。私はこの友人を思い出すときに、いつも東京事変の「スーパースター」と「私生活」を思い出す。友人の背中はいつだって逞しくて、迷いなく進んでいくから。次にいつ会えるかまるでわからないのに、もしも会えた時は堂々と笑顔で会えるようにいたいと思う。そういう、成長的な意味で刺激をしあえる関係というのはとても有難いと思う。もう、どれくらいの付き合いになるだろう。それでも色褪せず、友人は私の中で輝いている。

そんな縁が沢山ある。どうしようってなっていると必ず連絡が来る人や、必ず笑わせてくれる人や、会ってくれる人。どう考えても私は生かされて今日もここにいる。そういった人達がいるから私は最低限の笑顔を忘れずに、弱々しいながらも前を向いて生きている。今日はいつ会えるかわからない、ノルウェイの森を語り合った友人に会うまでは死ねないと思った日だった。

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